石灰岩の白いシンターが視界いっぱいに広がり、まるで凍てついた極地の荒野を鉱物で再現したかのようだ。その表面には炭酸カルシウムが幾重にも堆積した同心円状の稜線が連なり、この縮尺では淡い象牙色の砂丘のように見える。LEDの細い光束が水中を横切り、その光が当たった場所では方解石が青白く発光するが、わずか数センチ先の暗闇は絶対的な重さを持って押し迫り、洞窟壁に散在する結晶面だけが冷たい銀色の火花として瞬いては消える。光の真正面に照らし出された二匹の洞窟プラナリア(*Dendrocoelum* sp.)は体長十ミリ、光を一度も浴びたことのない組織特有の柔らかな乳白色をしており、体壁があまりにも透明なため、温かみのあるベージュ色の腸の分枝が河川の支流のように鮮明に透けて見える。視覚器を退化で失った滑らかな頭部は化学物質と振動だけで世界を感知しながら、繊毛の波打ちによって音もなくシンターの上を漂い、それぞれの体の真下には自らが光を遮ることでできた淡い影が幽霊のように浮かんでいる。
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