乳白色のターコイズ海面
Phytoplankton & coccolithophores

乳白色のターコイズ海面

北大西洋の真っ只中、胸まで浸かった海水はもはや透明な液体ではなく、ミリリットルあたり一千万個の方解石の輪が光を乱反射する生きた鉱物懸濁液となっており、視線を落としても数センチ先には乳白色の幕が広がるだけで、深みはまったく見えない。エミリアニア・ハクスレイという円石藻が形成するこの大規模なブルームは、個々の細胞が直径わずか五から十マイクロメートルに過ぎないにもかかわらず、数百キロメートルにわたって海面を翡翠白色に染め上げ、衛星からも視認できるほどの規模に達している。海面にはラングミュア循環が生み出す反時計・時計回りの対流渦が対をなして走り、浮力の軽い粒子を二から四メートル間隔の練乳色の条線へと集積させており、その縞模様が地平線の手前まで整然と延びている。遠くの水平線では、石灰白色のブルーム域と深海コバルト色の清澄な外洋とが、まるで異なる惑星を押しつけたかのように鮮明な境界線で区切られている。水面が全入射放射の四十パーセント以上を反射するため、頭上の太陽よりも水そのものから光が湧き出しているように感じられ、あたりには影がほとんど存在しない。

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