珪藻の一種であるChaetoceros(カエトケロス)のコロニーの中心に浮かんでいる。四方八方から、ほぼ透明な中空のシリカの剛毛(セタ)が伸び、互いにX字形の格子を組みながら積み重なった円柱状の細胞体をつなぎ、その薄いガラスの壁は冷たい青い海の光をとらえて白金色の輝線を描いている。細胞体の内側に密集するフコキサンチンに富む葉緑体は温かみのある琥珀色に燃え、コロニーの核心部では休眠胞子が厚く珪化した壁で光を散乱させ、周囲の結晶質な足場の中にくすぶる残り火のように橙赤色に輝いている。カエトケロスのコロニーは植物プランクトンとして外洋の表層水に漂い、絡み合うセタの三次元格子が水の粘性抵抗を高めて沈降を遅らせるという巧みな適応を示しており、その格子のあいだでは名もなき鞭毛虫たちが見えない微流に乗りながら漂流している。ガラス質の足場が縦横に張り巡らされたこの空間は、まるで深海の青の中に吊り下げられた生きた大聖堂であり、一瞬の静止の中に生命と無機の境界が凝結している。
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