ノルウェーフィヨルドの光彩
Ctenophores

ノルウェーフィヨルドの光彩

水面から12メートル下、ハルダンゲルフィヨルドの冷たく青みがかった水の中から真上を仰ぐと、視野全体が生きたシャンデリアへと変容している——数百体の*Bolinopsis infundibulum*が水柱のいたるところに漂い、それぞれ8センチから12センチほどの楕円形の体は海水とほぼ同じ屈折率を持つ中膠質でできているため、ほとんど透明な歪みとしか映らず、北欧の夏の斜光が差し込む瞬間にだけその輪郭が現れる。体の表面を子午線状に走る8本の櫛板列が、繊毛の波を板ごとに順送りすることで回折格子として機能し、赤からオレンジ、黄、緑、青紫へと絶え間なく変化する虹色の縞を走らせているが、個体ごとに繊毛の位相がずれているため、群れ全体では金、青緑、マゼンタが非同期に明滅し、水柱そのものがゆっくりと燃える多色の光の幕となる。ところどころの個体は消化管に取り込まれたばかりのカイアシ類によってアンバーがかった橙色に染まり、透明な中膠質の中に光に透かした卵黄のように浮かんでいる。遥か上方に輝く水面は白銀の鏡として揺らめき、降り注ぐ体積光の柱がこの無数の生きたプリズムを貫いて短い虹のファンへと分散し、個体と個体の間の水を淡い分光の霞で満たしている。これほどの密度で集まった生物たちの屈折・回折効果が重なり合い、ステンドグラスの大聖堂とゆっくり回転するプリズムの野原が合わさったような空間が、音もなく、冷たく、途切れることなく発光しながら続いている。

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